書評① ~NEWTYPE ニュータイプの時代~
〇前書き
久しぶりに本を読み終わったので、初めての書評をしたいと思います。
読んだ本↓↓
書名:新時代を生き抜く24の思考・行動様式 NEWTYPEの時代
著者名:山口 周(Yamaguchi Shu)
〇作者情報
著者名:山口 周(Yamaguchi Shu)
出身地:東京都生まれ
職業:独立研究者、著作家、パブリックスピーカー。ライプニッツ代表。
学歴:慶応義塾大学文学部哲学科、同大学院文学研究科修了
その他の著書
『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』
『劣化するオッサン社会の処方箋』
『世界で最もイノベーティブな組織の作り方』
など
〇作品情報
社会問題、VUCA、AIなど目まぐるしく変化する社会のなかで、現状の思考・行動様式から脱却し次の時代を生き抜くための考え方が書かれたビジネス書
〇評論
本書のなかで書かれている内容の一つに「問題の希薄化と正解のコモディティ化」があります。この内容に関して個人的に半分正解で半分違うのではないかと考えています。
おそらく「問題の希薄化」の問題とはパーソナル的な問題ではなくて、あくまで社会全体の半数以上が抱えている問題のことだと思います。言い換えれば1つの解で大多数の問題を解決出来てしまうようなもので、つまりは大量生産すれば安易に解決出来てしまう問題なのです。戦後の日本は国民全員が貧しいという状態がありましたので、その問題を迅速に解決するために大量生産が得意な工業に重きをおきました。低い生活水準という問題を工業製品によって解決したのです。
しかし現在はどうでしょか?
社会格差が問題とはなっていますが、戦後の日本と比較すると非常に高度な生活水準になっています。当たり前のようにインフラが整っており、24時間開いているコンビニ、都市部にいなくても世界中の物が買えてしまう環境、大学進学率も50%以上となっています。
現状をベースに考えると国民全員が抱える問題というのは少なくなっていると思います。つまりは、問題の希薄化です。
そして、日本が誇りに思っていた工業製品(家電、車等)もどれも同じような性能になっており、価格競争だけになっています。これが、正解のコモディティ化でしょう。
大多数が抱える問題が少なくなってきた代わりに現れたのが、個人が抱えるようなパーソナル的な問題です。その問題はとても個人的であり、大量生産的な考えでは解決できないようなものです。では、なぜ今までパーソナル的な問題が無視されていたのでしょうか?
それは、無視していたのではなく、単純に見えなかったからです。それを見えるようにしたのがネットです。ネットが発達し一人一人の声がネットに集まるようになりました。周囲に理解してくれるような人がいなくても、ネットの中には同じ問題を抱えている人がいます。パーソナル的でマイノリティな問題が多く現れるようになったのです。
多くの人が抱える共通な問題が減少した代わりに、パーソナル的なマイノリティの問題が増加してきました。それに伴って、問題を解決する方法も、大きな島を救うことから、小さくて多くの島を救うことに変化したのではないかと考えています。
その問題はテクノロジーで解決出来るかもしれませんし、心理学等で解決出来るかもしれません。解決方法も設定される問題によって異なるのです。
そのパーソナル的な問題をいち早く解決する方法が既に存在しています。
それはネット広告です。その人の検索履歴から、その問題に関連しそうな情報を広告で出します。しかし、それはあくまで個人が抱える問題の大集合部分でしかありません。今後は、ピンポイントでその問題を解決する方法を提示する手段が現れると思います。
今後は問題と解決策の多様化の時代になるのではないかと考えています。
〇まとめ
2~3年所属しているコミュニティに違和感がある人にお勧めします。
様々な視座から問題点を描き出しているので、自分の持つ違和感を解決できるような方法が書かれているかもしれません。